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グローバル化に備え、今何をすべきか?

Yoshinori Nakata -Official Site-海外生活で得た学びを、ブログを通じ発信して行きたいと思います

駐在員の苦悩②~出張者にどう対応するか?~

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 駐在員は日本からの出張者対応も仕事の一つだと思います。出張者だけではなく、時として重要なお客さんを迎え入れるケースもあると思います。よって、「ホスピタリティー」を持つことは、駐在員にとって一つの要件になり得ると思います。
 
 基本的に出張者は明確な目的を持ち、我々のような駐在員と現地を視察したり、直接話さなければならないような重要案件を抱えている事が多いですが、残念ながら大した目的も持たず、若干旅行気分で出張に来られるケースも少なからず存在します。私の場合、生産担当という立場上、工場見学を依頼される事が多いですが、「○月○日に工場行けますか?」というだけの依頼もあり、目的、人数、希望時間、工場の何を見て何を議論したいか、最終のアウトプットは何なのか等々、時には基本情報を伝えられず、訪問依頼を受けるケースもありました。

 さて、ケースの違いはあれど、忙しい最中、このような出張者もしくはお客さんに直面した時にはどう対応するべきでしょうか?正直うんざりしますし、来て欲しくないですよね。分かります、私もそう思っていました。ただ、それではこちらにとっても嫌々対応するだけで、全くメリットがないので、私の場合、今はこういう出張者が来た時にこそ、全力で対応しています。そして私のチームにも全力で対応するように伝えています。

 仮に上記のような不足情報があった時にも、丁寧に確認するようにし、目的に応じてしかるべき当日の対応者も準備するようにしています。なぜこんな事をしたほうが良いのでしょうか?理由は大きく3つあります。

1. いかなる場合もイニシアチブを取る
 上述のように目的やその他の情報が不明なままでは、勿論こちらの準備が不足してしまいます。準備不足で当日を迎えると、得てして当日「あーしてくれ、こーしてくれ」と思いつきの依頼が殺到し、現地は混乱します。準備不足を招いた依頼側の出張者自身が、なぜか当日イニシアチブを持つ事になり、現地があたふたする結果となります。それよりも目的やその他の情報が不明な場合は、こちらから逆提案を行い、準備段階からイニシアチブを取り、当日の予定も全部こちらが決めてしまうぐらいの勢いでリードしたほうが結果的に断然楽になります。

2. 関係性の強化
 上記のような対応をすると、支援者が増えます。「すごく良い対応だった」「勉強になった」「来た甲斐があった」などなど、旅行気分を一掃して、アウトプットを持ち帰って頂けます。結果良好な関係性が築ける上、それは会社にとっても無駄な出張にならずに凄く良い事なのです。出張者は大抵の場合、帰国後出張報告があるので、こちらの対応が良かった場合、その話は出張者の部署及びその関連部署まで拡がる事もあり、後々思ってもみないサポートを日本から頂戴するケースもあるのです。一種の返報性の原理が働くのです。

3. 自分も楽しむ
 仮に出張者が旅行気分で来ていた場合、駐在員としてのモヤモヤを振り払い、思い切って自分も楽しみましょう。上記のようにこちらがしっかりイニシアチブを取って、やるべき事をやれば、アウトプットはそれなりに出て、かつ関係性も強化されます。仕事後の食事も、普段一人では行かないようなところに誘ってみて、新しいレストランや雰囲気を楽しんでみましょう。ハズレても大抵食事代は出張者の出張経費で落ちるはずです(笑)。

 さて、忙しい最中の出張者対応に対する気持ちは私も本当に理解出来ますが、上述のような感じで対応してしまえばポジティブに、そして結果も出るはずですし、逆に結果を出させるのも駐在員の仕事と捉えて良いと思います。ちょっとした気持ちの持ちようだと思うのですが、駐在員にとっては重要な事だと思います。但し、休日までアテンドを要求したり、ゴルフに誘って来る場合ははっきり断りましょう。それはもはや仕事ではありません。

【グローバル人材インタビュー vol.3】常に異なる分野や新しい事にアンテナを張る

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 グローバル人材インタビュー第3弾。シンガポール駐在時代に知り合い、今でも公私ともにお世話になっている日系大手航空A社勤務のHさんにインタビューさせて頂きました。Hさんは何でも良く知っているなと思っていましたが、やはり背景には小さな工夫がありました。

A社は人材育成に力を入れているように見えますが、グローバル人材育成の為に、具体的にどのような事を実施していますか?
 日本のメンバーに対してはグローバル化の第一歩として英語力を強化する為に、語学関連オープンセミナーやオンラインカリキュラム、選抜英語研修(English Bootcamp等)の費用を一部負担しています。現在では新入社員は入社時にTOEIC600点、管理職昇格時にTOEIC700点を取得するよう従業員に呼びかけています。また海外実務研修の拡充や、国内及び海外のMBA留学も人材育成の一環として行っています。7年ほど前から「従業員は入社10年以内に海外」という社内の目標を立てたものの、達成率は未だ数%で課題は残っています。

 海外ローカルスタッフに対しても、ローカル化の方針を掲げフェアな人事制度を構築すべく、人事制度を2014年にグローバル基準に移行いたしました。日本に行って仕事をする機会も与え、これまで日本人駐在員がしていた仕事のスコープをローカルに移管し、ローカルスタッフの戦力強化に繋げるようにしています。

異文化コミュニケーションとは一体なんだと思いますか?そしてその能力がなぜ必要だと思いますか?
 言葉以上に大切な「モノ」を一般的に異文化コミュニケーションと総称される事が多いと思います。例えばその国の文化、しきたりなどがそれにあたると思いますが、それらが理解できなければ、言語が出来ても日本と同じやり方は通用しないと思っています。日本のような以心伝心は海外では難しく、相手を理解するには親身になって聞くという傾聴の姿勢が大事だと思います。最初の駐在地であったバンコクでは、タイ従業員は自分の指示に対して頷きますが、それが本当に理解しているとは限らず、行動に反映しない事もしばしばありました。日本のように、メールを送るだけで理解し、動いてくれることも極めて少なく、だからこそ日本にいた時以上に数多く、そしてFace to Faceのコミュニケーションが必要だと思います。

グローバル人材になる為に具体的に取組んでいることを教えて下さい
 グローバル人材の方々は仕事だけではなく、様々な事に対し造詣深く、新しい事に興味を持つ人がとても多いと思います。ですので、私も食文化、歴史、世代ごとの流行などのいわゆるリベラルアーツを学んだり、常に異なる分野や新しい事にアンテナを張るようにしています。日々の日常の中で心がけているのは、どんな些細な事でも良いので「1日1つは新しい事をする」ことです。例えば職場から自宅への帰り道をいつもと変更したり、食事もいつもと違ったものをオーダーしてみるなど、小さな事でも良いので自分自身で変化を与え続け、そこから新しい何かを学びとるようにしています。

Hさんにとって「グローバル人材」とはなんですか?
 端的に言うと、A社の WAYを自らが体現できることが「グローバル人材」であると言えるかもしれません。そして、その術を外国人に対しても的確に伝え、違いがあっても臆せず、その違いを理解し、適切に接することが出来る人だと思います。

Hさん経歴
1992年日系大手航空A社入社後、国内業務に従事。2012年4月、42歳でバンコク支店に異動となり3年間勤務。その後2015年4月よりシンガポールに異動となり、アジア・オセアニア地域の総務・人事統括となり、2018年8月に日本へ帰任。現在に至る。

【グローバル人材インタビュー vol.2】力の倍数を高める

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 2018年に海外で活躍している方々にインタビューをさせて頂く機会を得ました。先日のGoogle Asia Pacificの山田理禾(あやか)さんに引き続き、今回は日系消費財メーカーで数々の海外経験のある住野温さんのインタビューを抜粋し、特に「異文化コミュニケーション」と「グローバル人材」について、住野さんの個人的見解を文章にまとめてみました。

海外展開状況について教えて下さい
 1960年代から海外事業展開はスタートしているので、会社として海外展開は比較的早くスタートしています。海外ビジネスは好調に成長しており、特にここ数年は海外売上が毎年大きく伸びています。現在、東アジア、東南アジア、欧州、中東、南アフリカを中心にビジネスを展開しています。

海外勤務経験を通じ、異文化コミュニケーションとは一体なんだと思いますか?そしてその能力がなぜ必要だと思いますか?
 海外勤務経験を通じ、その国それぞれの国民性があるのは確かだと思います。背景としては、生まれも育ちも環境も、そして宗教も異なるというのが勿論あると思います。その中でまずは、「日本のような暗黙知や、察する文化は通じない」という事を前提として理解しておく必要があると思います。
 海外でビジネスする上で重要なのは、全く異なる文化の中であっても、物事を正しく伝え、自分の思う方向(会社のゴール)へしっかり動いてもらうことです。その為にはやはりコミュニケーションが最も重要で、それが上手くいかないと、1+1=2にならず、極論ゼロになる可能性もあります。但し、コミュニケーション次第では、1+1が3にも4にもなり得るのも事実であり、その「力の倍数」をどれだけ高められるかが、異文化コミュニケーション能力だと考えます。

異文化コミュニケーション能力向上の為に、具体的に取組んでいることを教えて下さい
 異文化コミュニケーションの能力とは、つまりは異文化環境下で「相手を納得させ、共感させる力」だと思っています。その上で重要なのは、コミュニケーションの手段を選ばず、「絵に描き、表にして、理解させる」など、目に見える形で伝え、確実な相互理解に努める事だと思います。
 もう一つ重要視しているのが、竹中平蔵氏の言葉でもありますが、「戦略は細部に宿る」を実践することだと思います。異なる価値観を持つメンバーであっても、具体的に戦略がイメージ出来るレベルまでディテールを描ききる事が重要で、そのイメージが共有できてはじめて人が動き、結果が出て、信頼されるのだと思います。

住野さんにとって「グローバル人材」とはなんですか?
 語学が重要だと言われますが、語学はあくまでツールの一つです。英語が流暢だから仕事が出来るというわけでは必ずしもありません。
 簡潔に言うと、「色々な考えを持つ人たちの中で、自分の考えを正しく伝え、共感してもらい、同じ方向に向かって物事を進めることが出来る人」だと思います。そして「自分の軸を持ち、目の前の小さな成功を積み重ね、現地からの信頼を勝ち得る事の出来る人」がグローバル人材と呼ばれるのだと思います。

住野温
99年に国際部に異動し海外業務をスタート。海外マーケティングで欧州担当の販促を実施後、アジア事業部として2005年からタイビジネスに従事。2006年タイ事業の再生計画を立案しそのままタイに駐在、自身の策定したビジネスの再生計画を作成・実行。2011年に日本に帰任し韓国子会社立上プロジェクトリーダーとして韓国立上げを企画実行。立上げ後、現地責任者に指名され、2012年より韓国で韓国社社長として駐在を開始し、実質ゼロからビジネスを立ち上げる。2017年からCEOとしてマレーシアに異動、駐在した3社にてすべて赤字会社から黒字化を実現。2019年2月に日本へ帰任。現在に至る。

駐在員の苦悩①~完全減点方式~

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人を評価する際に、良く「加点方式」か「減点方式」かを問われる事があります。当たり前ですが、新入社員くらいの立場であれば、期待値もそれ程高くないので大抵「加点方式」が採用され、ちょっとしたアウトプットでも評価されます。

 一方、課長や部長クラスになると、周りからの期待値が既に高いため、「減点方式」が採用されるケースが多く、私も若い時には「あの課長(部長)、こんなことも出来ないのか」と良く愚痴をこぼしていたものです(笑)。今ではそう言われている側ですが。。。相撲の横綱を見れば完全に減点方式ですよね。「勝って当たり前」と思われてますし、素行が少しでも悪いものならば「横綱としての気品がない」と言われ、どんどん減点されて行きます。

 さて、海外の日本人駐在員はどうでしょうか?そうです、私の経験からこれは「完全減点方式」だと思います。この完全減点方式というのは、あくまでローカル社員から見た日本人の評価であり、日本の本社から見た日本人の評価ではありません。

 ローカル社員の目線では、日本から駐在員が来たという時点で、年齢や役職に関係なく最初から150点くらいの点数がついています。つまり最初から「期待値」が高いのです。日本人駐在員がローカル社員に比べ、良い待遇である事も余裕でバレています。ですので、ちょっと仕事が出来ないと、どんどん減点されて行きます。これがローカル社員の目線です。

 一方で、駐在員の目線で話をすると、海外駐在になった途端、日本にいた頃より役職が一つもしくは二つ程度上がり、そして仕事範囲も急激に広がるため、全部が完璧に出来るわけがないのです。逆に言葉や文化の壁もあり、出来ない事のほうが多いのです。

 そうなると150点を期待しているローカルとのギャップが生まれ、ローカルからの自分の評価がどんどん下がっていくような雰囲気に押しつぶされそうになり、そんな事もどんどんストレスになってしまうのです。私が海外駐在初期の頃そうでしたから、良く分かります。

 あくまで私が思うことなので、解決法という訳ではありませんが、ローカルからの評価は一旦脇に置いておいたほうが良いと思います。そもそも他人の評価は自分で変えられないので、それは別の課題として一旦脇に置き、その上で「自分が出来ない」という事も素直に自覚し、それを克服していく事にまずは集中します。そんな姿は、きっとローカル社員も見ています。

 ここで相撲の話に戻りますが、元横綱の千代の富士は相撲ファンでなくても愛されていた稀有な存在と思います。怪我も多かったですし、敗戦も多く経験していました。なぜあれ程ファンがいたかと言うと、相撲人生に浮き沈みが多く、怪我で苦悩している姿も多くの人が見ており、それを克服していく姿も同様に皆が見ていました。横綱だったにも関わらず、単純に「減点方式」のみで評価されていなかったと思います。

 駐在員も究極的にはこの姿を目指すべきだと思うのです。評価を気にして完璧を目指すよりも、苦悩を素直にローカルに打ち明け、出来ない事を克服しようとする姿を見せたり、更に困難をローカルと一緒になって克服し、そんな仕事の浮き沈みを一緒に共有することで「加点方式」も「減点方式」もなくなり、人として評価されると思うのです。

 人は完璧な人間よりも、浮き沈みがあって、ドラマのような人生を歩んでる人に魅力を感じ、応援したくなります。ですので、駐在員は評価に苦悩するよりも、仕事で苦悩する姿をオープンにし、ローカル社員と一緒に克服していけば良いと思うのです。そうすることで、減点方式の呪縛から解放されると思います。

最近良く聞く「多様性」について

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 本日はバンコクである説明会に参加しており、その中で何度も出てきた「多様性」という言葉について書いてみたいと思います。

 グローバル化やグローバル人材の話をする際に、必ずと言っていいほど出てくる言葉が「多様性」です。「多様な人材や文化を尊重し、異なる意見を大事にする」等々、グローバル人材の一つの要件に挙げられることも多く、比較的ポジティブに受け取られている言葉だと思います。私も多様性はもちろん大事だと思いますし、グローバル人材の一つの要件というのも間違いないと思っています。

-多様性の誤った認識について-
 一方、少し気になるのは、この「多様性」という言葉が少し一人歩きをしている感もあり、誤って認識している人が増えつつあると思っています。つまり、この「多様性」という言葉のせいで「俺が、私はこうだから」「自分の意見はこうだ」と自己主張するいわば「言ったもん勝ち」の人が増えて来ている気がしており、かつ相手の意見を聞かない場合においても、「多様性」が誤って蔓延している場合、それを認めようという流れになっていると思うのです。

-多様性の中で、本来必要な能力と人物像は?-
 勿論、自分の意見をはっきり伝える事は大切ですが、多様性の本質的な意味合いは、「異なる意見を受入れ、正しく理解する」ことだと思います。ですので、「多様性」を磨くためには、人の話を聞き、正しく理解するという「傾聴」の能力が本来必要だと思うのです。この傾聴の能力無く、自分の意見だけが言えるようになっても、それはただの自己中心的で、残念な人になってしまう可能性があります。そしてそういう人は得てして「協調性」も欠けてしまっているので、ビジネス環境下では全く物事が進んでいかない状態になってしまうと思うのです。

 更に海外で特に聞くフレーズですが、「会議において発言しない人はノーバリューだ」と言われる事があります。しかしながら内気で発言を躊躇う人もいるのも含めて「多様性」だと私は思っています。そんな人に対して上手くファシリテーションしながら発言を引出す能力も優れたリーダーであれば必要なのではないかと思うのです。少なくとも「言ったもん勝ち」の流れにしてはいけないと思うのです。

 私もまだまだ成長しなければなりませんが、自分の意見は正しく伝え、異なる意見を受入れ、正しく理解しながら、そして発言を躊躇う人からも意見を引出し、今ビジネスで起こっている問題を構造化しながら、その中でベストプラクティスを選択出来るような人材になりたいと思っています。それこそが本質的な「多様性」だと思うのです。

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